番組『FESTIVAL OUT』のパーソナリティーで本公演のＭＣを務める別府由来のオープニングトークを経て、最初にステージに登場したのはGLASGOW。
番組内で行われた「Fanpla Live Audition」のグランプリアーティストに輝き、オープニングアクトを勝ち取ったこのバンドは、どのようなステージを見せてくれるのか？
期待する観客たちに向かってフィードバックサウンドが放たれ、演奏がスタートした。
幻想的に揺らめく轟音、透明感に満ちた歌声が心地よかった「lightning」。抒情的なメロディとアグレッシブな爆音の併せ技が刺激的だった「オレンジフィルムカーテン」。
このバンドが初めて作った曲なのだという「youth」。
温かなメロディをじっくりと高鳴らせた「After image」……4曲が届けられたが、UKロック、シューゲイザーへの敬愛を感じさせる要素と、詩情に溢れたメロディアスさを絶妙に融合させているバンドだった。
演奏が終わってから、司会の別府由来がアラタニ（Vo・G）にインタビュー。WEEZERの来日公演を観たことがある豊洲PITでライブができたことを喜びつつ、「ここに当たり前に立てるバンドになりたいです」と力強く語っていた。

毛利匠太（Dr）のスティックカウントを合図にスタートした1曲目「夏」で、会場内のムードを一気に熱いものへと変えたPEDRO。
アグレッシブなギターサウンドを放つ田渕ひさ子（G）と並んで立ち、全力で歌いながらベースを弾くアユニ・Dは、フロントマンとしての存在感の塊だった。
「PEDROです。よろしくどうぞ。」という挨拶を挟み、すぐに突入した2曲目「GALILEO」も、前のめりな勢いで駆け抜けていくサウンドがスリリング極まりない。
スクリームやシャウトも交えつつ、不穏なエネルギーを目一杯に漂わせていた「pistol in my hand」。
観客たちの手拍子も加わりながらダンサブルなサウンドを響かせた「自律神経出張中」……エネルギッシュなナンバーが連発されていった。

最初の小休止で、月1第4週のパーソナリティーを務めている「RADIO BLAST」について語ったアユニ・D。1人で喋るのが上手くいかず、最初の頃は悔しくて仕方なかったが、徐々に楽しめるようになったのだという。
「私は音楽がすごく好きなので、好きな音楽をみなさんと共有できたり、好きなものについて話をするのが幸せ。いつもありがとうございます。今日は同じ空間、同じ場所で顔を合わせて音楽を共有できるのがすごく幸せです。最後までどうぞよろしくお願いします」というMCの後、さらに様々な曲が届けられた。
瑞々しい空間を作り上げていた「空っぽ人間」。
観客たちが穏やかに身体を揺らしながら聴き入っていた「浪漫」。
郷愁を誘うメロディがまっすぐに迫ってきた「生活革命」……3人が一丸となって爆音を炸裂させるのとはまた別のPEDROの一面を堪能することができた。

「RADIO BLAST」月1第2週パーソナリティー・Saucy Dogのライブのスタートを告げるSEが流れる中、登場した石原慎也（Vo・G）、秋澤和貴（B）、せとゆいか（Dr・Cho）。
ひとりひとりが順番にステージのセンターに立ち、深々とお辞儀をする度に、待ちわびていた観客たちの間から温かな拍手が起こった。
そして、石原がギターを弾きながら歌い始めて、すぐにベースとドラムが合流。1曲目に届けられたのは「煙」。
恋の終わりに噛み締める喪失感が、豊かなストーリー性と共に迫ってきた。続いて「シーグラス」。3人の演奏の融合から生まれるグルーヴ、歌を通して伝わってくる切ない心情が美しい。
軽快な観客の手拍子がバンドサウンドを一際心地よいものにしていた「雀ノ欠伸」に至る頃には、会場全体が爽やかな昂揚感で包まれていた。

「新しいアルバムが先日の終わりにリリースされました。そこから1曲」と石原が言い、演奏が始まった「シンデレラボーイ」。
3人が随所で交わすキメとタメを効果的なアクセントとしつつ、熱量を徐々に高めていく様がかっこいい。
演奏する喜びがサウンドの隅々にまで溢れ返っていた「ゴーストバスター」も、Saucy Dogのバンドとしての切れ味の良さを存分に示してくれた。
そして、「まだまだ盛り上がっていけますか？」と石原が観客たちに呼びかけたのを合図に突入した「バンドワゴンに乗って」は、激しく手拍子をしたり、掲げた腕を夢中になって揺らしたりする人々のエネルギーが、3人のサウンドをドラマチックに彩っていた。
大合唱をすることはできない状況だが、ミュージシャンと観客たちが直に音を共有できる「ライブ」というものには、何物にも代え難いものがある。
そんなことを再確認させられる場面の連続であった。

「みんな音楽が好きなんだなというのが伝わります。今日、出会えただけでも、一緒にライブができただけでも嬉しいなと思っています。最後にとても大切にしている曲を」という石原のMCを経て、ラストを飾ったのは「結」。
Saucy Dogのファンに深く愛されているこの曲の2コーラス目からは、予想外の展開が待っていた。
ステージ袖から歌いながら登場したのは、なんとアユニ・D！　彼女と石原の歌声が交わされたひと時は、このイベントだからこそ実現した特別なコラボレーションだった。
歌い終えた後、互いを改めて紹介し合った石原とアユニ・D。秋澤、せとが浮かべている笑顔もまぶしかった。
この共演は「結」が好きだとラジオでアユニ・Dが言ったのをきっかけに実現したのだという。
パーソナリティー同士の音楽愛に満ちた交流は、『LIVE BLAST』を最高の余韻と共に締め括ってくれた。