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【Interview】チャ・ウミンが見つけたこと

2025.04.03

CHA WOO MIN
CHA WOO MIN

友達についてネットカフェに行った高校生チャ・ウミンは、その日プロゲーマーではなく俳優という夢を抱いた。彼は、俳優も結局は数多くある職業の一つであるとし、ただその仕事をうまく成し遂げたいと思っている新人だと自身を紹介した。ドラマ『埋もれた心』で見つけた俳優、チャ・ウミンに会ってきた。

ドラマ『埋もれた心』が絶賛放送中ですね。今回演じられた“チ・ソヌ”は、非行少年に近い役柄だと思うのですが、19歳のチャ・ウミンさんはどんな学生でしたか?
僕は、少し遅れて演技の入試準備を始めた学生でした。1年中、演技塾の練習室で過ごしていました。『埋もれた心』で演じた、ソヌはたびたび逸脱した行動をしますが、悪い子には見えないようにしたかったんです。心の奥には純粋な面を持っている少年なので、視聴者の方にもそんなソヌの姿を感じていただけたらと思いながら作品に臨みました。

中学生時代には水泳に、高校生時代には柔道に励まれていたと伺いました。スポーツ選手を夢見たのではとも思いますが。
むしろすごく好きだったので、仕事にしようという思いはありませんでした。どんなスポーツでもプロになるには、歯を食いしばって練習しなければいけないじゃないですか。僕が好きなスポーツは、一生趣味として楽しめたらという気持ちが大きかったですね。そんな中、高校2年生の時に俳優を目指してみたいと思うようになりました。

俳優の入試準備をした、きっかけは何かあったんですか?
実は他の友達に比べると、入試準備を遅く始めた方なんです。高校に入学した当初は俳優になりたいとは思っていませんでした。今でもはっきり覚えている出来事が1つあって。今でもそうなんですが、ゲームはそんなに好きではないんですけど、一度だけ父が「友達とネットカフェにいって遊んでみな」とお小遣いをくれたことがあったんです。背中を押されるように行ったんですが、やっぱり面白くなくて。そのとき、なんとなく思いつきで“演劇映画科”と検索してみたんです。そしたら受験用の演技塾がずらっと出てきて、ひとつずつ見てみました。それがすべての始まりでした。

それとなく演技への興味はずっとあったんですね。
母が映画好きなので、小学生の頃からあれこれと映画を本当にたくさん見せてくれて、今では映画の好みが全く一緒です。今思えば、「あのとき、なんでこの映画を見せてくれたんだろう?」と思う作品もありますが、ただ面白い映画を見せてくれていたというよりは、世界にはいろんな映画があるんだよって教えたかったんじゃないかなと思います。

その中でも特に記憶に残っている映画はありますか?
北野武監督の『菊次郎の夏』です。小学生の時に初めて見たんですが、母とお腹を抱えて笑いながら観ました。今でも夏になるとたびたび観る作品です。ジブリ映画も好きなんですが、これも母の影響ですね。

そんな息子が俳優になって、とても誇らしいと思われているでしょうね。今回の『埋もれた心』で、ご自身が満足されているシーンをひとつ挙げるとしたら?
オートバイに乗るシーンです。自分の演技が気に入ったというより、自分自身に打ち勝ったと感じた撮影だったんです。撮影前に練習をした際、オートバイに乗って転んでしまって大けがをしてしまいました。ギアの操作に慣れなくて、最初に発進するときに前輪が浮き上がってしまって。転んで、右腕全体をひどく擦りむいてしまいました。しばらくオートバイを見るのも怖かったんですが、それでも撮影はしないといけないじゃないですか。内心はぶるぶる震えていましたが、恐怖を乗り越えて撮影したシーンなんです。

今日の撮影の際に、頭に浮かんだ言葉を書いてくださいと急にお願いしたんですが、まるで事前に準備されていたかのようにスラスラと書き出していて、内心驚きました。
普段から好きな本の最初の1文は覚えておく方なんです。正確には最初の1文に惹かれて、その本を好きになります。最初に書いた文章はパウロ・コエーリョ『11分間』の冒頭に出てくる一節です。「われわれはこの人生で、どの瞬間をとっても、片方の足をおとぎ話に、もう片方の足を奈落に置いて生きているのだから、この出だしだって悪くはないということになるのかもしれないー」そして、2つ目に書いたのは、小説『風の歌を聴け』の冒頭の一節です。「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないように…」

数ある本の中からその2冊を選んだ理由が気になります。
しばらくラテン文学にハマっていて、そのとき一番好きだった作家がパウロ・コエーリョなんです。『11分間』は、温かさと冷静さ、理性的なようでありながらロマンチストな一面が共存している本なので好きです。『風の歌を聴け』は、村上春樹の初の長編小説です。いつも僕が“人生の一冊”として紹介している作品で、いわゆる“春樹文体”が確立される前の作品なんです。その分、本物の味があるというか、今でもときどき読み返す小説です。

読書という趣味はいつ頃からですか?
本を積んで読み始めるようになったのは、会社から“運動禁止令”が出たときです。『夜になりました~人狼ヲ探セ~』で演じた役柄のために、痩せないといけなかったんです。運動ができなかったので、その時間に本を読むようになりました。それから体重は落ちましたが、続けて本を読んでいます。読む本を都度買うより、一度に何冊か買っておいて、読みたくなったときに取り出して読みます。今月は『ノルウェイの森』の改訂版と『論語余説』を読む予定です。

写真を撮ることも大好きだと伺いました。少し唐突な質問ですが、スマートフォンの壁紙は何ですか?
Pinterestで見つけたイラストです。街灯の下に1人の男性が立っている絵です。

訳ありな男性に見えますが、特にこの絵を選ばれた理由はありますか?
僕に似ているなと感じたんです。ひとりでいるのは好きですが、実はすごく寂しがり屋で。仕事の時は一生懸命だけど、ときどきとことん怠けてしまうんです。なんとなく、この絵の男性も自分と似たタイプなんじゃないかと思いました。

今日の撮影をモニタリングしながら、「善役も悪役も似合いそうだな」と思いました。今後、演じてみたい役はありますか?
今は、出演作の実績を増やしていかないといけない時期じゃないですか。ジャンルを問わず、役を演じられること自体がありがたいです。ただ、今の僕の年齢だからこそ演じることができる役をたくさん演じてみたいです。映画『二十歳』みたいな、青春作品に出演してみたいですね。

チャ・ウミンが考える、良い俳優とはどんな俳優ですか?
人間らしい俳優ではないでしょうか?僕の父がいつも言っている言葉があります。どんな職業でも、まず人としてちゃんとしていないとって。もちろん職業人として誠実な俳優であることも大事ですが、人格的にも立派な人になりたいです。僕が憧れている俳優の方々のインタビューを拝見すると、皆さんそんなことを仰っています。俳優も結局は数ある職業のうちの一つにすぎないと。この一線をわきまえられている俳優こそが、良い俳優だと思います。

20代中盤を過ぎようとしていますよね。30代になった時に、どんな姿でいたいですか?
ファンミーティングで、ファンの皆さんへの最後の挨拶でこんな話をしました。愛される資格のある俳優になります。俳優として、そして一人の人間として恥ずかしくない大人になりたいです。


『埋もれた心』 Disney+スターにて配信中
https://www.disneyplus.com/ja-jp/browse/entity-3ab89b0b-3862-417a-bda1-ca395d8f914c


出処: INTERVIEW 차우민이 찾은 것
https://www.arenakorea.com/arena/article/58122

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